スマートフォンを入口に、人・AI・クラウドでシステムを育てる
Power Elemotion Lab.では、パワーエレクトロニクスの現場経験とAIを組み合わせ、専門業務を支援するシステムを自ら開発しています。
その中心にあるのは、「現場で必要だと感じたことを、まず形にし、実際に使いながら改善する」という考え方です。私たちは、この姿勢を Playing Spirit――まず自ら手を動かすこと と呼んでいます。
現在は、パワーデバイス比較解析サービスや業務管理システムの開発・運用を通じて、少人数でも継続できる開発手法を検証しています。
専門知識を、使えるサービスへ
パワーデバイス比較解析サービスでは、半導体メーカーのデータシートPDFから必要な情報を抽出し、指定した回路条件で損失やジャンクション温度を概算します。
対象は、DC-DC降圧回路と2レベル3相PWMインバータです。解析に加え、受付、会員管理、メール連携、Excelレポートの作成など、利用者に結果を届けるための仕組みも開発しています。
技術上の課題は、数値を読み取るだけでは解決しません。同じ項目でも、測定温度、電流、ゲート条件、代表値と最大値の違いによって意味が変わります。
こうした違いを整理し、比較できる条件と、確認が必要な条件を区別する。その判断に、現場で培った専門知識を活かしています。
本サービスは、設計初期の一次スクリーニングを支援するものです。最終的なデバイス選定には、データシート原本の確認と実機による検証が必要です。
人・AI・クラウドの役割分担
開発では、人、AI、クラウドがそれぞれの役割を担います。
| 担当 | 主な役割 |
|---|---|
| 人 | 目的・要求の決定、技術的な妥当性の確認、試験、本番反映の最終判断 |
| AI | 要求の整理、実装案の作成、コード修正、試験の支援、文書化 |
| クラウド | プログラムの実行、自動ビルド、テスト、データ保存、サービス提供 |
AIの提案は、原本や計算条件、実行結果と照らし合わせて確認します。複数のAIを用いた比較も活用しますが、回答が一致したことだけで正しいとは判断しません。
特に専門解析では、何を根拠に、その値や計算方法を採用したかを説明できることを重視しています。
スマートフォンを開発の入口にする
この開発スタイルの特徴の一つが、スマートフォンを日常的な操作の入口としていることです。
要求の指示、進捗確認、候補版の試験、結果の確認、リリース承認などを、スマートフォンから進められるようにしています。実装やビルド、サービスの実行は、AIの実行環境とクラウドが担当します。
開発基盤にはGitHub、Cloud Build、Cloud Runを使用し、受付や管理画面にはGoogle Apps Script、資料・記録の管理にはGoogle DriveやNotionなどを組み合わせています。
作業内容に応じてPCも使いながら、場所や端末に依存しすぎない開発環境を目指しています。
小さく変更し、候補版で確かめる
開発は、実際に見つかった課題を起点に進めます。
- 利用結果から、問題や改善点を具体化する。
- 変更する仕様と、確認すべき条件を整理する。
- AIを活用して実装・修正し、自動テストを行う。
- 候補版で実際のPDFや回路条件を使って確認する。
- 結果を評価し、承認後に本番へ反映する。
本番と候補版を分けることで、公開中のサービスを維持しながら改善を進めます。Gitの変更履歴、ビルド情報、Cloud Runのリビジョン情報を照合し、確認対象を明確にすることも重視しています。
ビルドや自動テストの成功に加え、専門解析として結果が妥当かを確認する。この二つを組み合わせて、変更を判断します。
品質を繰り返し確認できる仕組みへ
現在は、品質保証の基盤をさらに整備しています。
一つは、代表的なPDFと、原本に基づいて確認した正解値を固定することです。変更後も同じ条件で比較し、以前正しかった結果が崩れていないかを確認します。
もう一つは、試験結果と、試験したプログラムの版を結び付けることです。どのGit・ビルド・リビジョンを、どの受付番号の試験で確認したかを記録し、本番反映の根拠として残します。
これらは現在、実装・検証を進めている取り組みです。個別の不具合修正で得た知見を、次の変更でも使える試験や運用ルールへ変えていきます。
開発の経験そのものを、次の知恵に
Power Elemotion Lab.では、この取り組みを「AI組織実装工学」の実証の場として位置付けています。
専門家の知識をAIへどう伝えるか。実装結果をどう確かめるか。作業が中断しても、記録からどう再開するか。少人数で継続するためには、プログラムとともに、人とAIの協働の仕組みを育てる必要があります。
現場の経験を仕様へ。仕様をシステムへ。そして、開発で得た知恵を次の改善へ。
Powering Motion, Creating Value.
Power Elemotion Lab.は、自ら作り、確かめ、改善する実践を通じて、専門知識が価値につながる方法を探求していきます。
© 2026 Power Elemotion Lab.
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